悪く見られたほうが気が楽

スタッドレスタイヤへの交換を急ぐ人々で遽しい。

雪の降らない地方の人々が呼ぶところの「タイヤ」は,北国では「夏タイヤ」と呼ぶ。夏タイヤから冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)への交換風景は今時の風物詩である。

いつものことであるが,この時期はまことに憂鬱だ。

北国人といえば忍耐力という甚だ迷惑なイメージがつくられたのは一体いつだろう。NHKの「おしん」にも責任の一部はあるだろう。

人々のもつイメージは,悪いものであればそれはそれで問題だが,逆に良くても厄介で暴力的な代物になる。人はそのイメージに沿って行動することが暗黙のルールになる。その暴力のエネルギーがいかに強いものかは先の大震災で被災した人たち知っているはずである。他人のもつイメージという強制されたルールに従って,人々は立派な北国人を演じている。

イメージは,自ら壊したほうが勝ちである。私についていえば,冬が来るたびに陰鬱さに押しつぶされて「雪のないところに住みたい」という北国人としては恥ずべき弱音を鉛色の空に吐き続けるている。「惰弱北国人宣言」である。根性と忍耐力のない情けない北国人であることを正直に吐露し,頑強な北国人から睥睨(へいげい)の眼差しを集めようとも,「雪の降らない土地に住みたい,老後はハワイ」と情けなくも軽率に言い続けることにしている。

口にしたほうが多少なりともガス抜きになるし,陰鬱さから逃れられそうな気がするのである。そんな骨のない人間だと思っていただければとても助かる。

さて本業の方も冬に入って変化を迎えている。まずダニアレルギーの悪化が目立って増えている。ダニアレルギーは通年性などと言われるが実は季節性でである。夏場の悪化は殆どない。暖房で室内が乾燥することで,布団から大量のダニ抗原が粉末となって放出され人々を苦しめる。

私自身45年来のダニアレルギーだが,先日訳あって布団をコインランドリーで洗ったところアレルギー症状が非常に軽くなったことに気を良くして多くの患者さんに布団の洗濯を勧めている。十分に乾燥した家であれば,今の時期に布団を選択すれば春先まではダニ抗原が増えることなく快適な布団を使い続けることができるのでオススメである。

写真は2003年11月,大館盆地を望む大山から。大山は古い修験者の山である。最近は熊の出没が多く安易に山に入られない。