ニセアカシアの花粉症は滅多にありません
爽やかな空に花粉の舞う季節です。
この地区ではニセアカシアが瓊葩(けいは)を広げ人々の目を楽しませてくれています。
近くにある小坂町はかつて日本最大の鉱山を抱き採鉱と精錬を行っていました。東北地方で最初に電気が通ったのは小坂鉱山で,東北地方最大の病院を擁していたのもまた小坂鉱山でした。今でこそ兵(つわもの)どもの夢の跡ですがかつては高楼大廈(こうろうたいか)の連なる巨大な鉱業都市だったのです。
精錬で生じる強酸性のガスによって周囲の山々は多くの木々を失いました。そこには貴重な天然秋田杉も含まれていました。戦後になって酸性土壌に強いニセアカシアが植林されて今この季節の山を飾っています。今は小坂町の名物で,間もなくアカシア(実際にはニセアカシアなのですが慣習的にアカシアと呼んでいます)まつりが開催されます。
この時期に花粉症の症状の出る人は自分がニセアカシアの花粉症だと思っている人も多いようですが,ご存知のようにニセアカシアは蜂蜜をつくるミツバチが集まることで有名ないわゆる「虫媒花」です。少ない花粉を虫の力を借りてより確実に受粉させるという植物です。貴重な花粉は確実にミツバチに運んでもらうために花粉は強い粘着性をもっていて風では容易に飛びません。
つまりニセアカシアの花粉症は非常に稀だということです。ニセアカシアよりも,その下に生えているイネ科の雑草,それこそが花粉症の原因です。