花粉症で得はあるのか?
3月の陽気とは裏腹に,思ったように気温の上がらない4月です。そのためスギ花粉の飛散も少なく,結果として真綿で首を絞めるようにじわじわと花粉症患者を苦しめています。
病気であることは必ずしもデメリットばかりではありません。一病息災と昔からいうように,病気があることでむしろ健康になるということがあり得るのです。では花粉症であることに何かメリットはあるのでしょうか。
外に出ないので日に焼けない,ゆっくりゲームができる,外に出ないのでお金がかからない,など俗っぽい利点ではありますが,花粉症の苦しさを相殺できるほどありがたいメリットとはいえません。
ある論文を見つけました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30700443
今年の1月に発表された論文です。アメリカにおける170万人以上のがん患者と,がんを持っていない10万人の人を比較してアレルギー疾患とがんの発症を検討したものです。
その結果,アレルギー性鼻炎は下咽頭癌、扁桃咽頭癌、食道扁平上皮癌,子宮頚部癌、膣外陰部癌のそれぞれの発症リスクを約半分に低下させていることが分かりました。
現時点でその理由は判明していませんが,アレルギー性鼻炎が体内への侵害異物の排除という免疫反応の過剰状態であることを考えれば,その過剰免疫が侵害異物としての「がん」に対しても排除的に働いてくれるのではないかというのも容易に想像できるところです。
以前から頭頸部癌の患者さんはアレルギー性鼻炎を持っている人が少ないという印象を持っていましたが,それを裏付けてくれた論文でした。
このようなデータがアレルギー性鼻炎に苦しんでいる人達の辛さをわずかでも軽減してくれるのではないでしょうか。
でも……辛い。(写真は本日,北秋田市鷹巣で採取したスギ。振ると花粉が飛び散ります)